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メトロノームを使おう

(1)音楽は流れが大切

音楽は流れが大切と思います。流れが止まったり、リズムがぎこちなかったりすると、心地よいとかカッコいいとかにならないと思うんです。基本的なところでは次のようなもの。

 

①リズムの取り方を間違っていて、1小節の長さが部分的に違っている(4拍子なのに4.5拍分とか5拍分の長さになってるなど)

 

②左手のポジションチェンジとか難しい箇所で一瞬止まったり、ゆっくりになったりする

 

これらは、曲に合わせて手拍子してると、演奏が手拍子と合わなくなっちゃうパターン。要するに流れの悪い演奏です。①は勘違いや間違いなので、それに気づいて修正すればいい。問題は②でしょう。

 

これは僕の持論ですけど、真剣に人に音楽を聞いてもらうケースでは、いくらミスをしても止まることなく、リズムをキープして演奏し続けるのが良いと思ってます。極端な話、ミスして1小節 音が出せなくても、その小節を弾き直すよりは、リズムに乗って次の小節から音を出したほうがいいんじゃないかと本気で思います。

※実際には1小節全く音が出ないのはさすがに良くないので、押弦をミスしたとか運指がわからなくなった場合は、全弦を左手でミュートし、リズムに合わせて適当な弦を弾き続け、どこかのタイミングで正しい演奏に戻す、というのがより良い対応。

 

音が出なかったとか、メロディーを間違えたとか、コードを間違えたとか、そんなことは曲が先に流れていけば過ぎ去った話になる。バンドの演奏考えればわかるけど、ギターが間違っただけで曲を止めることはまず有り得ないですよね。バンドの演奏なら、ドラムとベースがしっかりリズムを刻んでいれば、その他の楽器が多少間違えてもそれなりに心地よいもの。

 

「そんなこと言ったって、難しい箇所は、考え込んでしまったり、弦を押さえられなかったり間違ったりして、演奏が止まっちゃうんだ」ということはあるでしょう。もし、何回練習しても難しい箇所が「全く」克服出来ないなら、その曲は(人に聞いてもらうレベルまで仕上げるには)難易度が高すぎるんだと思います。

でも、ゆっくりのテンポなら弾けるっていう場合は練習しがいがあります。

(2)僕の練習方法

僕がやっているメトロノームを使った練習方法を紹介します。極々普通の話ですけど、参考になる部分があれば幸いです。

左手の押さえ方、右手の弾き方などを一通り練習して、たどたどしくても、何とか通しで弾けるようになっていることが前提です。

 

まず、一番難しい箇所が弾けるぐらいのすごく遅いテンポにメトロノームを設定して、最初から最後まで弾きます。目標はとにかく止まらずにテンポどおりに演奏すること。難しい箇所でゆっくりになったり、止まって弾き直してると、それがクセになってしまいます。

もし、ゆっくりテンポで演奏しても途中で止まってしまうようなら、テンポの設定が速すぎるんです。もっと遅くしましょう。僕はテンポを原曲の1/2以下にして練習することもざらにあります。

 

簡単に弾ける部分は、テンポが遅すぎてかったるいかもしれませんが我慢します。ゆっくりすぎると、どこまで音を伸ばしていいかわからなくなるとか、リズムを取るのが逆に難しくなるっていう人もいるかもしれません。それはその曲のリズムが理解できていない証拠。ゆっくり弾くことは、リズムを正確に表現する練習にもなります。

 

遅いテンポで演奏しても、やっぱり弾けないところ、ミスしてしまうところが出てくるかもしれません。それでもとにかく止まらずにテンポをキープして最後まで演奏します。その後、弾けない部分を重点的に練習します。そして、設定した速度で最初から最後まで止まらずに弾けるようになったら、少しだけメトロノームの速度を速めて練習を続けます。これを繰り返すわけです。

 各音の長さや消音など、ゆっくりテンポの時にしっかり確認しながら練習するのがいいと思います。


例えばBPM100の曲を、BPM50から練習開始。上手く弾けたらBPM51にして練習。次はBPM52に・・・と徐々に速度を速めていく。これをやっていけば、そのうち原曲のBPM100に到達する日が来ます。それまでに50回以上弾くことになりますが、そのくらい練習したって練習し過ぎってことはありませんよね(笑)

どの速度から練習開始するか、速度を速めていく刻みをどの程度にするかは自由。

 

尚、クリック音を4分音符(♩)で鳴らすか、8分音符(♫)で鳴らすかを設定可能なメトロノームであれば、8分音符で鳴らす設定にしておいたほうが、リズムが確認しやすいです。

(3)メトロノームを使うメリット

この練習の良いところは、

①ミスしても止まらずに先に進める技術が身に着く

②弾けない箇所が明確になるのでそこを重点的に練習できる

③一曲を通して練習するので既に弾けているところも何度も弾くことになり、余裕で弾ける部分が増えてくる(安定感が出てくる)

④メトロノームのテンポを少しずつ上げて何度も練習するので自然と練習量が増える

⑤そうこうしているうちに、速いテンポでも全曲止まらずに弾けるようになってくる

 

メトロノームは、4拍子とか3拍子とかの設定をきちんとして、小節の一拍目がわかる設定にしておきましょう。「ピッポッポッポッ」みたいなやつです。これで小節の頭のタイミングがずれてないかを確認していけば、一番最初に書いた「リズムの取り方の間違い」にも真っ先に気付くことができます。

 

 

尚、クラシックをやられている方などで、メトロノームを使うことに否定的な方がいるかもしれません。それは「テンポの揺れで音楽を表現することもある。メトロノームを使うと機械的な音楽になってしまい、人それぞれの表情が出なくなってしまう。」ということだと思います。

ただ僕が上に書いたのは、表情付け以前の、弾けるようになるまでの話なので、メトロノームは積極的に使ったほうがいいんじゃないかと、僕は思っています。

 

ということは、メトロノーム使って50回弾いても、それは準備体操みたいなものなのか? そうですね、そうかもしれません(笑)

(4)実例

この練習が全ての曲に合ってるとは言わないけど、左手のフォームチェンジが難しいとか、右手のリズムの刻みが難しいとか、その部分で曲の流れが止まっちゃうような場合など有効な練習方法だと思ってます。特にテンポの速い曲では、そもそもオリジナルのテンポではなかなか弾けないということもあり、僕はこの方法で練習してます。

 

実例を一つ紹介します。

矢後憲太さんの「JOKER」という曲。この曲はBPM130~135くらいの高速で、リズムも結構複雑、且つスタッカートやストリングヒットが満載で僕にとってはかなりの難曲です。

 

本当の速度はこんな感じ。

 

練習はBPM60からスタートしました。

 

この速度で、運指やリズムや各音の長さ(スタッカートなのか伸ばすのか等)を叩きこんでいるところです。出来ればこの時点でもう少し音の強弱も考えたいところ。

こんなゆっくりテンポで練習してるの?って思われた方もいるかもしれませんね。地道な練習が成果を生むと信じて。。