ピックアップの SKYSONIC Pro1と、プリアンプ&マルチエフェクターである ZOOM A3を使ってどんな音が出せるか試してみました。
ピックアップのデモとか聞いてると、どれも素晴らしい音がしてるんだけど、「録音するときにいい機材使ってんじゃないの?」とか、「録音してから音を加工してんじゃないの?」とか思いますよね。良いピックアップでもピックアップの音そのままでは、ソロギターを弾くには低音が不足してたり、なんか音が寂しかったりするんで、やはりイコライザーとリバーブぐらいは使いたくなるものです。
僕はピックアップを使って自宅で録音する時は、PC上のDAWソフト(CUBASE)でイコライジングとエフェクト処理をしています。でも、PCでの音の加工は録音するから出来ることで、ライブじゃそうはいかない。また録音した後の加工は試行錯誤ができるのが良いところだけど、面倒と言えば面倒。その場で良い音が出せればそれにこしたことはありません。
ということで今回のテーマは「あまり高価な機材を使わずに良い音が作れるか?」です。
ピックアップを使って音を出す(あるいは録音する)ときに必要な機材は、①ギター、②ピックアップ、③プリアンプ・DI、④エフェクター、⑤アンプやスピーカーの類(録音するならレコーダーやPCやスマホ)になると思います。僕は③も④も持ってなかったんで何を買うか悩みました。③④は選択肢が山のようにあるし、評判のいいものを買い揃えていくと結構なお値段になっちゃいます。そこで③と④が一体となっていて、しかも比較的お手頃価格の「ZOOM A3」を買ってみました。
尚、ピックアップがアクティブタイプ(電池を使うやつ)なら③を使わなくてもOKですが、その場合は④の一つとしてイコライザーは欲しいです。
今回の録音について説明します。
曲は2曲。どちらも押尾コータローさんの曲。1曲目(Go Ahead)がストローク・叩き系で、2曲目(木もれ陽)がバラードです。1曲目はボディーヒットが沢山ある曲ということで選びました。
録音に使った機材は以下。
①ギター:Taylor GS mini
②ピックアップ:SKYSONIC Pro1
③④:プリアンプ&エフェクター:ZOOM A3
⑤レコーダー:zoom H4n
②③④の価格を合計すると、ピックアップの取り付け加工費を足しても 60,000円ぐらい。②だけでも、マグネとコンデンサーマイクが付いたピックアップ Fishman RareEarth Blendが 45,000円ぐらい。押尾さんが使ってるピックアップはマグネ(Sunrise S2)だけで50,000円を超える。それに③や④を加えたらもっともっと高くなっちゃいます。マグネ+コンタクトピエゾ+コンデンサーマイクの付いたピックアップに、プリアンプとエフェクターを加えて60,000円というのは、相当お手頃価格なんじゃないかと思うわけです。
機材の設定について説明します。
Pro1は、マグネ+コンデンサーマイクと、コンタクトピエゾのボリュームが別々なので、ボリュームバランスの調整が可能です。今回の録音では、1曲目(ストローク系)はマグネ側の音量を少し絞りました。2曲目(バラード系)はマグネ側を大きめにしました。コンデンサーマイクは1曲目も2曲目も最大にしました。
ZOOM A3で使ったエフェクトは、1曲目は Chorus+Arenaリバーブ、2曲目は ModReverb+Delay。本体にあるイコライザーのツマミは、1曲目は Base:14時の位置、Mid:10時、Treble:14時、2曲目は Base:10時、Mid:11時、Treble:14時の位置に。ボディタイプ・モデルタイプは初期値と思われる Round Shoulder&D-28を使用。ピックアップセレクトはフラットを選択。Dry/Wetのバランスツマミは中央の位置で設定。
いろいろな演奏を聞いていると、リバーブを深め・長めにかけている音をよく耳にします。確かに気持ちいいんですけど、モコモコして何を弾いてるかわからなくなっちゃう感じもするので、僕はあまり好きではありません。なので、今回はリバーブやコーラスが浅めにかかるようにパラメータを調整しました。
演奏をモニタリングしている時は気付かなかったんだけど、録音してから聴いてみると、1曲目はもう少し低音を出したほうがよかったかなとか、やっぱりリバーブはもう少し深めにかけたほうが良かったかなとか、いろいろ思うところはありました。それからやっぱりコンプレッサーで音の粒を整えて音圧を増やしたいんですよね。これをやるとやらないとでは迫力が違います。そんなこんなも、録音した後にPCソフトで音を加工するなら、エフェクトも何種類もかけられるし、聞いてみてからいろいろ調整できるんですけどね。
あと、1曲目の Go Ahead は、本当は曲の途中でエフェクトのかけ方を変えたいんだけど(最後のほうにあるちょっと静かになるところはリバーブ・ディレイを深くかけるなど)、今回のような掛け録りではそう簡単にはいきません。押尾さんのライブではエンジニアの方が頻繁にエフェクトのかけ方を操作してるからCDと同じような音になるんですね。
ということで、音作りにこだわりたいなら、やっぱり録音した後にDAWソフトを使って加工するほうがいいですね。
今回おまけで、ZOOM A3を使って録音した音を、さらにDAWで加工したものを動画の最後に追加しておきました。ディレイを思いっきりかけてます。本当は、DAWで音を加工するなら、録音する際はプリアンプ/DIを通すだけにして、イコライジングは後からやったほうがいいと思います。
尚、ZOOM A3はエフェクトの組み合わせをメモリーして、それをフットスイッチで切り替えることができるので、曲の途中でエフェクトを変えることが出来るかも。と思ったのですが、切り替えの時に音が一瞬途切れてしまうので、休符のタイミングなどで操作する必要があります。エフェクトのオン/オフだけなら演奏中も可能です。
話は戻って今回のテーマ。一発で簡単にそれなりの音を出したい、それをあまり高価な機材を使わずに出来たらいい。
さて、録音した音はどうでしょうか。複数の機材を比べてみたわけではないし、僕は「良い」と言われる音を聞き慣れてるわけでもないんで比較はできないんだけど、素人目には結構いい感じに録れたかなと思ってます。
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