<アレンジメモ:青春の影>
(1)キーとチューニングの決め方
本題に入る前に、アレンジの基本的な話をしておきます。アレンジするのに、まず決めなくちゃいけないのが「キー(調)」と「チューニング」ですね。これでアレンジの成否が決まるとも言えるので悩みます。
僕が普段使うキーは、レギュラーチューニングなら C, D, (E), G, (A), Em, Am。弾き語りでコード弾きがしやすいキーと同じです。オープンチューニングなら D, Dm, G, Gm。前の2つがDADGAD、後ろ2つがCGDGxx。変則チューニングを駆使すれば他のキーにも出来るんだろうけど、頭が混乱するので今のところ僕は使えてません。
キーの決め方、僕のやり方は・・・、
まずメロディーの最低音がベース音と被らず、最高音が1弦の「ラ」から「ミ」くらいの範囲になるキーを探します。メロディーの音が低すぎるとハリがなくなっちゃうので、この位の音域を使うのがいいんじゃないかと思ってます。
その範囲になるチューニングとキーの候補がいくつか出てくるので、それらを順に試してみて、弾きやすいものを見つけます。特にメロディーがハイフレットになる時にベースの音が出し易いかがポイント(開放弦が使えるか、あるいは 押弦しやすいか)。
レギュラーかオープンかは、ストローク系のアレンジにしたい時は基本オープンチューニング。爪弾き系なら試してみて弾きやすい方を選んでます。
要は僕は決め方のコツを持ってないってこと。ひたすら試行錯誤です(笑)
尚、カポを使えばキーは変えられるので、少し低めのキーも選択肢になります。但し、理由あって僕はあまりカポを使いたくないので、なるべくカポなしで音程が丁度良くなるものを選ぶようにしてます。
それから原曲キーのままソロギターアレンジをする方も多いですが、僕はそれには拘りません。歌モノで言えば、唄に合うキーがソロギターに合うとは限らないので。
(2)CGDGBDは優れもの
前置きが長くなっちゃいましたが本題へ。
僕がアレンジした「青春の影」は、試行錯誤の結果、キーはG、チューニングはCGDGBDに決めました(音程が少し低くなってしまったのでやむを得ずカポ2に)。
CGDGxxのオープンチューニング(CGDGBDの他、CGDGAD, CGDGBE等も含む)は相当使えます。それは何故か?
主要三和音って聞いたことあリますか? Ⅰ, Ⅳ, Ⅴの和音(コード)のことですね。キーがCなら C, F, G 、キーがGなら G, C, D。主要と名付けられているとおり、これらのコードは曲の中でよく使われます。だからこれら三つのコードのベース音を開放弦で弾けると曲全体の運指がとても楽になるのです。
CGDGxxのチューニング(キーはG)を見てみましょう。主要三和音のベース音=ソ、ド、レ が全部開放弦で弾けます。これが素晴らしい。
そして更に優れてるのは、Cコードのベース音であるドの音をズドーンとした低音(6弦のドロップ)で出せること。J-POP等はサビの一番盛り上がる所でⅣのコード(キーがGなら Cコード)が出てくるケースが多いんです。Ⅳのコードのベース音を低い音程で出せると音に厚みが出て盛り上がりを演出できる。これが大きな魅力です。
ちなみにレギュラーチューニングで、キーをAとした場合も、主要三和音のベース音(ラ、レ、ミ)を開放弦で弾けるんですが、Ⅳのコードのベース音(レ)が4弦になるので重みが出ません。
「青春の影」はサビのコード進行に特徴があって、ここが美しいんですよね。キーがGだと、サビ冒頭のコード進行は「C」→「D/C(D on C)」の流れ。コードがCからDに変わってもベース音がC(ド)のままなんですね。これを「CGDGBD」のオープンチューニングで弾いたらばっちりでした。
今回そのあたりを動画にしてみました。
「青春の影 / チューリップ」 フル演奏動画