ポップスのアレンジは、イントロもアウトロ(エンディング)も原曲を元にするのが普通だけど、それだけじゃ面白くないと思うことがあります。特に昔からあるスタンダードな曲をソロギアレンジするなら、自分流に本物とはちょっと違うイントロにしてみたいと思ったり。
イントロやアウトロを自分で考えるって、作曲と同じだから結構難しいです。何か特徴あるものにしたいと思っても、そうそう思い付くものでもありません。そんな時、一つのアイデアとして、他の曲のメロディーを組み入れる方法があります。
僕のアレンジ例を動画にまとめたので、まずはこれを見てください。
「ふーんそうなの」「もういいや」って感じかとは思いますが、音楽好きの僕の話はまだまだ続きます(笑)。お時間ある方はもう少しお付き合いください。余談も含めて解説していきます。
①似ている曲を挿入<青春の影>
1曲目。チューリップの「青春の影」に、プロコルハルムの「青い影」を組み合わせました。「青い影」と言ってもピンとこない方もいると思うけど、曲を聞けばわかりますね。イントロのオルガンが印象的な曲です。このイントロのコード進行が、青春の影のAメロのコード進行とほぼ同じなんです。コード進行が似るのは珍しいことではないけど、この2曲は出だしの音が同じなのと、テンポやリズムやアレンジが近いので、かなり似た印象を受けます。
プロコルハルムの青い影は、日本のアーティストにも大きな影響を与えたと言われています。チューリップの「青春の影」はタイトルからしても「青い影」に影響された and/or 「青い影」をリスペクトして作られた曲なんじゃないかと思います。
このような雰囲気の似た2曲なので、2曲を繋ぎ合わせても全く違和感ありませんね。そして、「青春の影」が「青い影」へのオマージュだと考えれば、一緒に演奏したくもなります。実際この組み合わせは僕だけがやってるわけではなくて、結構あるあるパターンだったりします。
ちょっと脱線するけど、ユーミンの「ひこうき雲」や「翳りゆく部屋」も青い影の影響を受けていると言われてます。そしてそんな人気者の「青い影」自体も、バッハの「G線上のアリア」がベースになっていると言われてます。やはり出だしの音が一緒で、コード進行もほぼ同じなんですね。
このBLOG書くのに、青春の影のアレンジをいくつか聞いたんだけど、ありました。「青い影」に「G線上のアリア」をミックスし、それを「青春の影」のイントロとして利用したアレンジが。福山雅治さんの青春の影のカバーです。見つけたら聞いてみてください。
参考に、これらの曲のコード進行を書いてみました。わかりやすくするために、キーを「C」に合わせてます。
一見違うコードのようにも見えますが、黄色の部分のベース音を見ると「ド→シ→ラ→ソ→ファ→ミ→レ」になってるんですね。違うコードのように見えるものも、コードの構成音が似ているので、流して聞くと同じコード進行に聞こえると思います。
4つ目は、アリスの「遠くで汽笛を聞きながら」のサビの部分。これもコード進行がほぼ同じ。このパターンのコード進行は、探せばいろいろ見つかりそうです。
②状況に合った曲を挿入<安奈>
2曲目。僕にとって「安奈」はクリスマスソング。クリスマスイブに弾いてみたんだけど、せっかくこの日に演奏するんだからと、スタンダードなクリスマスソングをイントロにもってきました。
それで歌ってたら、ふと一つのアイデアが頭の中に。クリスマスが終われば次は正月。ならばアウトロにはお正月の曲を入れてみたらどうだろうかって。
お正月の定番曲は「♪もういくつ寝ると〜」ですね。でもこの曲は元々のコード進行だと、安奈の雰囲気とは合わない。と言うことでコード進行は大胆に変えてみました。かなり自然に繋がったんじゃないかと自分では思ってます。
③目的を持って挿入<花>
これまでの2曲は、他の曲を挿入すると言うよりは、メドレーで繋いだと言う方が正しいんだけど、3曲目は1フレーズだけ切り出して挿入した例です。
SONY MUSIC 主催のソニアカフェスという催しで、押尾コータローさん講師のアレンジ講座があったんです。その課題曲が滝廉太郎の「花」。参加者は自分でアレンジした「花」を提出せよとのことで僕がアレンジしたのが動画で紹介したやつです。アレンジする時、押尾さんへのリスペクトを何らかの形で表現したいっていう想いがありました。そこで考え付いたのが、アウトロに押尾さんの曲を挿入すること。
押尾さんファンで動画見てくださった方、何の曲かわかったかな〜?
正解は「桜・咲くころ」でした。原曲と調が違う(D調→G調へ変更)のと、コードとテンポを少し変えてるのでわかりづらかったかもしれませんね。
以上、アレンジのお話でした。